常勤と非常勤

この仕事やっていてよく出てきます。
一部の職場では常勤マウントがあったりなかったりして。
どっちがいいのか?
それについて考察してみたいと思います。
 
結論から言うとどっちがどうとかはない。
「その人のライフスタイル、ライフステージによって働きやすさが違う」と思います。
 
まずは一般的なメリットデメリットから。
 
常勤のメリット
・雇用が安定しているので安心して働ける
・福利厚生が充実している(社会保険、産休育休、退職金など)
・原則定年まで雇用なので人生計画が立てやすい
 
常勤のデメリット
・職場でなじめないと結構地獄
・仕事上の責任や負担が増える
・副業できないところが多い(収入を増やせない、1つの分野でしか仕事できない)
 
 
非常勤のメリット
・ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける
・転職しやすい
・やりたいことが複数ある場合はかけもちできる
・残業が少ない(比較的)
 
非常勤のデメリット
・雇用に上限があるなどでキャリアを積みづらい
・週の勤務時間数によっては社会保険に加入できず、保険料がかさむ
・確定申告が手間
・人生計画が立てづらい
 
こんな感じでしょうか。
 
 
私の場合は就職する上での条件は2つ。
①一人で生活できる程度(額面20万以上)の収入
②精神科領域に関わる仕事であること
 
①は、自立心が強すぎて、自分で食っていけないといやだ!と単に思っていたから。
②は、将来的にはリエゾン精神医学や緩和医療の分野に興味がありますが、どの分野に進むにしても、精神科領域の知識や経験がないと話にならないと思ったからです。
なので若手のうちに精神科でたくさんの症例を見て知識と経験を増やしたいと思いました。
 
ただ、私が就活していた時に見つけた求人では
①は満たせても②が中々満たせない。
この業界の精神科領域のお給料は比較的安いからです。
 
紆余曲折を経て、
総合病院の精神科をメインの職場(週3)としつつ、
教育分野のお仕事(週2)でお給料を底上げ
という感じに落ち着きました。
 
教育分野でのお仕事は正直あまり興味がなく、お金のために始めたと言っても過言ではありませんでした。ただ、始めてみるとおもしろくて、もっと勉強したい、もっとうまく臨床できるようになりたいと思ってもう3年目です。
勤務年数を重ねるごとに職場での関係も醸成されていって、やっていることは変わらないけど声をかけてもらえるようになったり。安心して居られるようになったり。
この仕事っておもしろいなと改めて思った出会いでした。
 
 
もとい
常勤と非常勤にはそれぞれメリットとデメリットが当然あるので、ライフスタイルとかやりたいことに合わせて選んだらいいんちゃうかなって思ってます。
もう世の中的には正社員信仰とかいい加減薄れてきてるし。終身雇用とかあんまり魅力的ではありません。
 
例えばやりたい分野があって、そこでがっつり勉強したい、安定して働きたいってことであればささっと常勤選べばよいと思います。
 
例えば、ライフステージ的に出産とか子育ての時期と被っているんであれば、非常勤選んだ方がフレキシブルかなと思います。常勤で産休育休も取れますが、どうしても復帰した後に週5は大変かなと個人的には思います。常勤だと責任のある仕事任されがちだし。
これも、育児に頼れる実家があるかとか、経済的に余裕があるかとかによると思いますけど。別にお金あるんだったら働かなくていいしね。
 
 
自分は、この仕事が好きで、色々な分野を経験したい、ライフイベントがあってもできる限り続けたいと考えているので、今のところ非常勤かけもちがいいかなと思ってます。
(あと個人的に職場に週5日通うのは、環境の変化なさすぎて結構いやです。)
 
 
ということで何の答えにもなってませんが、やりたいこととライフステージに合わせて選んだら?って話でした。
別に常勤非常勤に優劣はないです。責任や仕事内容は多少違うかもしれませんが、心理の仕事やってることに変わりはないです。
常勤マウント取ってくる心理士は、それでしかアイデンティティ確立できないだけなので無視でいいです。ブランドで身を固めた人と同じです。
 
 
でも、別にこのままの環境でよいとは思ってません。
私自身、非常勤薄給使い捨てという雇用形態が蔓延していることには反対です。しっかりとした社会的な居場所を与えてほしいと思ってます。
ひいてはそれが心理士の自尊心と仕事上のパフォーマンス向上に繋がると考えているからです。
お願いしますよ国会議員さん。

ちょっと休憩

収入のことばかり書いていたらネガティブな気持ちになってきたのでちょっと休憩。
まだまだ暑い日が続く。コロナの影響も計り知れない。
なんか世紀末感がすごい。
 
私が臨床心理士の仕事を知ったのは高1のときだった。
「友達に愚痴を吐くこと」でなぜ気持ちがすっきりするのかを疑問に思い、調べていくうちにこの仕事を知った。
いいじゃん。おもしろそう。私、これになるわ。
 
進路相談で担任に言うと「食っていけないから絶対やめろ」と言われた。結構な剣幕で言われた。
私は中学の時から英語が得意で、高校では英語教育に力を入れている学科に進んだ。それまでは通訳になりたいと言っていたから、先生も仰天したと思う。
 
でも私は頑固なので、それくらいで諦めるはずがない。センコーの意見など聞かぬ。
行きたい大学をいくつかピックアップして、心理学入門の本を読んだ。ますます面白くなった。
 
高3の進路相談では、もはや心理学を学びたいということについて止められることはなかったが、行きたい大学については「なんでここに行けると思ったの?」と言われた。学力が足りなかったようだ。
 
それから頑張って勉強したので、行きたい大学には進学できた。
ただ、心理学に学派があるのを知らず、偏差値だけで大学を選んでしまったので院進の時に苦労した。
なんやかんやあって、何とか大学院も修了して心理士になれた。
臨床心理士の二次試験で東京に向かう日の朝、大学入学から7年越し(私の場合は)の夢がやっと叶おうとしていることに胸が震えたのを覚えている。
 
 
私はこの仕事が好きだ。これからもずっと続けていきたいと思っている。
苦労も多く、雇用も不安定だけど、それでも学び続けたいと思う。
ここまでこの道に没頭させてくれた両親には感謝している。
 
人の心は見えない。一生懸命言葉にしてもほんの一部しか表現できなかったりするし、全然適切に言い表せないこともある。
 
人が何かを乗り越えるとき、まあこれからも生きてみるかって思うとき、その人の中ではものすごい変化が起こっている。
そこに至るまでの過程って苦しくて辛くて、悲しくて情けなくて、どろどろした感情ばかりだけど。
だけどそれってとても人間らしくて素敵だと思う。本人は苦しいけどね。そんな人間らしさに寄り添える心理士でありたいと思っている。
 
 
真面目になってしまったけど、これは心理士になってからずっと変わらない。

心理士の自己肯定感

最近自己肯定感ってめっちゃ浸透してきました。心理相談とか検査でもよく聞きます。
 
じゃあ当の心理士の自己肯定感ってどんなもんでしょうか。
自己肯定感(自尊心)を形作る要因は数多くありますが、私はお給料と自己肯定感はとても密接に関係していると思います。
(もちろんお金だけで自己肯定感は上がりませんが。)
 
 
低賃金だと自尊心が低くなります。
なんでか。
自分の仕事(スキル)に値段がつくわけですよ。自分の価値が明確に数字で示されるわけです。
専門的な知識や技術があるはずなのに、資格のいらないアルバイトと同じ値段をつけられるとしましょう。「あなたにはこの程度の価値しかありません」と。
自分の価値が必要以上に低く見積もられています。
 
すると、不思議なことに自分が感じる自分の価値がどんどん下がっていきます。たとえ今までがんばって勉強してきた自負があっても。(院卒だから普通の人よりも上だとかは言ってません。)
 
 
するとそれが今度は身の回りのこと全てに影響してきます。
 
仕事。
「安い給料だし頑張ったら損」と仕事が手抜きになってくる可能性があります。
トラブルや大変なことがあっても、それなりの対価が支払われていないわけですから、「お金もらってるからいいか」と溜飲を下げるポイントがありません。ただただ疲弊していきます。
お金が足りないので、研修とか学会にも行く機会が減って知識のアップデートができなくなってきます、
難しい仕事があっても、「どうせ自分にはできない」と思って積極的に挑戦しなくなります。だって自分の価値は低いから。
 
プライベート。
自尊心が低いと周りと自分を比べるようになります。
例えば大学時代の同期。ようやく心理士になれたころ、ストレートだと彼らは社会人4年目です。それなりに自分で生活を送れるようになり、後輩もできて少しずつ重要な仕事を任される頃でしょう。結婚する人、子供ができる人も出てくるかもしれません。一方でようやく心理士になれた自分はどうでしょうか。単にライフステージが違うだけなのに、僻む気持ちや劣等感を抱えてしまうかもしれません。
自分の価値が低いので、当然ながら恋愛も上手くいきません。変な男(女)に引っかかってしまう可能性も高くなります。
 
それと、税金とか年金とかあるけど、それを支払うのにめっちゃ苦労します。
でも納税って国民の義務で、義務を果たすことすら危うい自分が情けなくなってきます。
 
 
怖いよね低賃金。自尊心を根こそぎ持ってかれる上に、仕事も上手くいかなくなります。
そして何より、こんな状態の心理士が、ちゃんと機能して人を援助できると思えません。
 
 
だから、仕事に見合った対価を得ることは必要だと思うんです本当に。
保育士さんや介護士さんの低賃金も問題になってますよね。
介護福祉業界では利用者への暴力とかあるけど。暴力は絶対あかんけどね。でも、日ごろ低賃金で不満がたまっていて、自尊心だって低くなっていて、そこに理不尽なことがあるとそれが容易に爆発しちゃうんですよ。
せめてもう少しお金もらえていたら「まあお金貰ってるから我慢するか」とかって思えるかもしれない。
ってニュース見ながら時々考えたりしています。
 
 
本当はもっと業界の体制が整っていて欲しいです。
心理士、世の中的に必要な仕事だなっていうのはすごく思うので。向き不向きは仕方ないけど、お金が理由で諦める人は減ってほしいなって思ってます。
ただ、歴史が浅い資格というのと、企業や病院にとっても稼ぎ頭(例えバリバリ手術して高い診療報酬を得られるとか)となる存在ではないから、現状では正直難しいところはあると思います。
(国家資格がどうとか、医師の指示のもととかいう議論は正直もうええわって感じですが。
 
だけどみんな頑張って苦労して勉強してきたんだからね。
成り下がらずに、上手に心理士として生きれたらいいよね。

軌道に乗り始めるまでどう生き延びるか問題

 
低賃金なことは分かった。
でも低賃金であっても心理の仕事がしたい。もしくはするしかない。
人並みに稼いで、自立した生活を送りたい。できればやりたい分野で仕事しながら。
 
じゃあそういう人はどうやって生き延びるか。
今のところの答えは「実家最強」です。
もう少し言うと、
最初の1~2年は実家で生活しながら、比較的良いお給料の就職先(一般的に心理業界では教育・産業分野や、経験者優遇のところが給料が良い)を狙う」です。
これが今のところのベターでありベストかなと思っています。
この業界の特性上、自立した生活を送れるようになるまでには時間がかかるんじゃないかと思います。
(あと、これには親との話し合いが必要なのと、ちょっと後ろめたい気持ちも湧きおこってくるかもしれません。でもなりふり構っていられないのも実情です。)
 
 
なんだそんなことか。
個々に色々な事情があるのはいったん置いておきましょう。ちょっと説明します。
 
前回のブログの、私の家計を参考にしましょう。
<固定費>
家賃 約60000円
電気代 約3000円
ガス代 約3000円
水道代 約2000円
携帯電話 約6000円
SV費用 10000円(5000円×月2回)
食費 約30000円
その他生活雑貨など 約10000円
 
計 約124000円
 
最もお金がかかっているのは、一目瞭然ですが「家賃」です。
ここを抑えることができれば、かなりお金が浮きます。
(余談ですが節約のポイントは払いすぎている固定費の見直しからだそうですよ。)
 
家賃がないだけで、当時の私の家計の場合は1年で72万くらい浮きます(実家にお金を全く入れない想定だと。みなさん少しは入れましょうね)。
遊びに行けますし、貯金もできます。研修にだって行けるし、専門書も買えます。やりたい分野で就職するためにステップアップできるんです。
 
 
遠方から大学院(または大学)に来ている人もいるでしょう。
就職、どうする?できれば同期の多い場所に居たいけど・・・。
 
実家がドがつくほどの田舎だったら、心理の仕事も見つかりにくいかもしれません。
心理職は人口の多い都会に集中しています。ただその分競争率は高いです。
田舎の方が心理士が少なくて、採用されやすい可能性はあります。
 
そして運よく実家の近くで心理の仕事に就けたなら、
自分がやりたいことをするため、経済的に自立するためのステップだという気持ちを持ちつつ、心理の仕事に邁進します。
浮いたお金は貯金ですよ。必ずね。自立するときに必要ですから。
間違っても箱庭とか買わないようにね。
 
わざわざ心理の仕事じゃないとだめなのか?
その間に一般事務とか挟んで、心理の良い求人が出た時点で応募すれば良いんではないの?
 
だめです。
就職面接では「これまでの経験」「ケース数」「心理検査数」とか聞かれます。(履歴書とか職務経歴書にもほとんど書かされます)
あなたが採用者なら、心理と関係ない仕事を間に挟んだ人と、心理に携わる仕事していた人のどっちが欲しいですか?
そうですね、少しでも経験している人です。やる気があるかの指標にもなりますよね。
 
そして、1~2年は、実家で暮らしながら来たるべき日のために貯金します。
もちろん、求人情報は頻繁にチェックです。
ピークの時期はあれど、いつ出るかは分かりません。
 
非常勤の場合、求人が多いのは
・年明け~2月ごろ(4月から働くことを前提として)です。
・あとは、5月とか6月も多いかもしれません。(4月に就職した人が「なんか違う」ってなって辞めるケースも時々あるから。)
 
公務員系は前年度の6月くらいからですかね。
常勤はまちまちで、前年度の秋~冬頃かも。
 
こんな感じで、最初は実家で貯金しつつ専門の仕事をやっていくのが良いかなと思います。
 
ここまでさんざんお金大事と言ってきましたが、
仕事を探すときは「自分のやりたい分野」も大切にしましょうね。
「やりたい分野なのか」「その仕事で生活していけるか」「どのようなキャリアを積めるか」
など自分が仕事をする上で大切にしていることと照らし合わせて、ベストなバランスのところを探っていけるのが一番いいです。
 
みんな、生き延びような!
 
※私は自立心が強かったので、親の世話にならずに生きていきたいと思ってましたが、そうでない人もいると思います。この記事はその考えを否定するものではありません。あくまで自立を目指す場合に生き延びる術について述べたものです。

臨床心理士のお給料事情

えっ!私の年収低すぎ?の写真を無料ダウンロード(フリー素材) - ぱくたそ

 


 

えっ、私の年収低すぎ・・・?
満を持してこの画像を使います。
就職したての頃、本当に毎日お金のこと、将来のことばかり考えて過ごしていました。
 
当時私は、公立の総合病院で週5日の非常勤職員(時給約1300円)として働いていました。
週5なのになぜ非常勤扱いだったのかは分かりません。ただ、私の病院は行政改革の一環で、数年前から大幅に賃金が削減されたようでした。
非常勤のため、賞与、昇給はなしです。健康保険には入れました。
 
この時の月給(額面)は、
1日7.5時間×およそ月20日勤務=197550円 です。
ここから健康保険や年金・所得税などが天引きされ、手取りは大体15万円前後でした。
 
これを見て皆さんはどう思いますか。
安いですか?貰いすぎですか?
 
 
当時の私は一人暮らしだったので、とても少なく感じました。
家計のおよその内訳を公開します。
 
<固定費>
家賃 約60000円
電気代 約3000円
ガス代 約3000円
水道代 約2000円
携帯電話 約6000円
スーパーヴァイズ費用 10000円(5000円×月2回)
食費 約30000円
その他生活雑貨など 約10000円
 
計 約124000円
 
ここまででなんと26000円しか余剰がありません。(家賃は、都会で一人だったのである程度セキュリティを担保したらこうなりました。これでも交渉して5000円値引きしました金額です。)
友達と遊んだり、デートしたり、好きなものを買ったり・・・金額や場所がとっても限られてきます。
当然ながら貯金はほとんどできませんでした。
 
なんでなりたい仕事に就けたのにこんな気持ちなのか、こんなに勉強してきたのになぜこんなに貧乏なんだろう・・・毎日何かを呪ってました。
 
皆さんは臨床心理士になりたいと一念発起し、大学を卒業し、大学院に入り、居場所に困る実習や苦しい修士論文などの数多の戦いを終え、晴れて臨床心理士になりました。私もそうでした。
 
そして就活。
・非常勤 時給:1200円 週2日~ 保険なし
・パート労働者 時給:1500円 週3日~ 経験3年以上
・正社員 月給198000円~ 
 
こんな求人ばかりです。
 
 
・・・あれ???なんか様子がおかしいですね。私も当時思いました。
 
給料低すぎでは。正社員として働ける職場も少なすぎでは。ほとんどないです。
もう求人票を見ている時点で心が折れました。
キラキラ輝く夢の心理士ライフはどこに行ってしまったんでしょうか。
 
 
ここで、院卒者の初任給平均を見てみましょう。
 
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」より
 
院卒の初任給の平均は男女計で238900円です。
そうなんです。平均を大幅に下回っているんです。心理士界は。
無理ゲーやん。
 
そして、心理士の仕事はほとんど非常勤(パート労働)です。
正社員はごく一部で、だいたいの人が掛け持ちしてながら働いているのが現状です。
 
平均を下回る給料、不安定な雇用形態…どうやって生きていけばいいねん(この仕事は好きですよ、好きなんです)
そういえば高校の進路相談で「心理士を目指したい」って担任に言ったら「食っていけないからやめとけ」ってすごい剣幕で止められたのを思い出しました・・・。
強行突破して大学に入りましたが、期待を裏切らない結果となり、ようやく先生の言葉の意味がわかりました。
 
フロイトが昔に
「生きるとは、愛することと働くことだ」と言っていたようです。
それを軽率に解釈し、人並み(同年代の社会人並み)に働けずに困窮している私は「生きる資格ないのかな」って考えたりしてました(当時は例にもれず病んでますね)。
 
 
「世の中お金じゃない」って言いますが、それは綺麗事です。お金は大事です。
ここでのお金とは経営者や投資家などのいわゆるお金持ちが稼ぐぶっとんだ金額ではなく、人が1人生活するのに必要な程度(大体手取り20万程度)のお金です。
 
お金がないと簡単に人は病み、常に不満を抱えるようになります。
コンビニの100円コーヒーさえ買うのに迷い、外食はいつも一番安い定食セット。友達とも気軽に遊びに行けなくなります。
購買判断の第一条件がいつも値段です。値段でしかものを選べなくなります。
 
税金も払わなければいけませんが、それが苦しくて、一人前にお金を払えない自分が情けなくなってきます。自尊感情が根こそぎ持っていかれます。
そして、低賃金で働き、好きなものも買えない、自立して生活したいけれどそれも難しい、身体だけは疲弊しているということが続くと、自己肯定感めっちゃ低い心理士が誕生します。
 
そうなると、意欲も減って、仕事もやる気がなくなってきます。「どうせ時給上がらないし」「どうせ安月給だし」・・・
資格を取った時に誓わされた「自己研鑽」どころではないのです。
まず生き抜くことに必死すぎて自己研鑽は二の次になってきます。(研修費とかスーパーヴィジョン代、地味に高いですよね)
 
 
心理の仕事って「傾聴」とか「話聞いてアドバイスしてあげる」ってイメージが強くて「誰でもできそう」「明日からできそう」って思われがちです。
まさか傾聴するために専門的な知識技術が必要で、大学院まで進む必要があるなんて夢にも思いません。
でもこれが意外と奥が深いし難しいんです(奥の深さについては諸先輩方の本を読んでいただいて、ここでは割愛します)。
 
こういうことを言うと、「金のために人の話聞いいるのか」「金で作られた共感なのか」という意見が出そうですが、そうじゃないです。
 
心理士の仕事って、とても難しくて人のネガティブな部分に触れることが多いです。時には希死念慮、時には激しい怒り、恨み…(もちろんポジティブな感情もありますよ)。
いわゆる感情労働というやつです。
 
感情労働とは、
顧客などの満足を得るために自身の感情をコントロールし、常に模範的で適切な言葉・表情・態度で応対することを求められる労働のこと。(中略)感情労働による疲労や心のは回復しにくく、メンタルヘルスの不調を引き起こすことも少なくないため、社会問題化している。(コトバンクより))(https://kotobank.jp/word/%E6%84%9F%E6%83%85%E5%8A%B4%E5%83%8D-802230)
 
 
 
つまり、精神的な負荷が強く、メンタルの不調を引き起こす可能性が高い仕事です。
それを引き受けるのに、低賃金で自尊心ヘロヘロになってる心理士で大丈夫なんですか??ちゃんと機能できますか?という話です。
(給料上げれば解決するかといえばまた別の話ですが、自尊心が低い心理士にケアはされたくないですよね。)
 
 
 じゃあなんでこんなことになっているのか?
●そもそも心理士職の募集が少ない
→競争率が高くなる(みんなやりたい)
→多少賃金を低くしても、貴重な働き口なので採用辞退はしないし、就職後も辞めない(雇用者にとってはおとく)
→低賃金ループの完成
→心理士の自己肯定感(自己価値観)の低下
 
だと思っています。
 
 
 
この制度を変えたい!運動しよう!とかのつもりはありません。
だってこんなこと何十年も言われてきたのにいまだに変わってないし。どうせすぐには変わりません。
碩学の偉大な諸先輩方、なんとかしておいてほしかったぜ
 
じゃあ、こんな環境を与えられた我々心理士は、どうやって生き延びるのか?それを考察したいと思います。
せっかく苦労して取った資格、憧れの仕事。できればお金で悩みたくない。自己研鑽したい。
「対人援助職はこんなもんだ」「経験積めるから我慢」はもうやめましょう。
 
じゃあどうしたら良いのか???
次の記事で私なりの解決策を書いてみようと思います。

サイ子の自己紹介

 

初めまして。
臨床心理士公認心理師)のサイ子です。
 
西日本の心理系大学院(修士課程)を卒業した後、2017年秋に臨床心理士の資格を取りました。まだまだケツノアオイ心理士です。
 
今は総合病院と教育現場を非常勤で掛け持ちしています。
趣味は筋トレ、特技は高速皿洗い、座右の銘「時は金なり」。桃と焼き芋をこよなく愛しています。
 
働き始めて4年目、少しずつ現場のこと、この特殊な業界のことが分かってきました。そしてようやく、ようやく一人で生活できる程度のお金を稼げるようになりました(涙)。
働き始めた当初は不安定なこの業界と低空飛行の賃金に疲弊し、涙する毎日でした。(そしてなんと心理士1年目の時、1年で6回も結婚式に呼ばれました!)
 
 
突然ですが私は、この業界で生きていくためには
きちんと稼いで、心身ともに安定した生活を送る」ことがとても大切だと思っています(どこでもそうですが)。
 

そのために、このブログを通して心理職(臨床心理士公認心理師など・・・ 以後省略)として生きていくみなさんに少しでも役に立つ情報を伝えたいと思っています

心理士の「お金」「社会ルール」「恋愛」など、なかなか表で話す機会のないことについてつらつらと書いてみます。

臨床心理学の理論や学術に関しては、聡明で素晴らしい諸先輩方々が論じてくださっているので、そういうことについては端に置いておきます。

 
 
心理系でない方も「この仕事、こんな苦労があるんだ」など参考になる部分があれば幸いです。
 
とにかく何かが誰かの役に立ったら嬉しいです。
 
よろしくお願いします!