心理士の自己肯定感

最近自己肯定感ってめっちゃ浸透してきました。心理相談とか検査でもよく聞きます。
 
じゃあ当の心理士の自己肯定感ってどんなもんでしょうか。
自己肯定感(自尊心)を形作る要因は数多くありますが、私はお給料と自己肯定感はとても密接に関係していると思います。
(もちろんお金だけで自己肯定感は上がりませんが。)
 
 
低賃金だと自尊心が低くなります。
なんでか。
自分の仕事(スキル)に値段がつくわけですよ。自分の価値が明確に数字で示されるわけです。
専門的な知識や技術があるはずなのに、資格のいらないアルバイトと同じ値段をつけられるとしましょう。「あなたにはこの程度の価値しかありません」と。
自分の価値が必要以上に低く見積もられています。
 
すると、不思議なことに自分が感じる自分の価値がどんどん下がっていきます。たとえ今までがんばって勉強してきた自負があっても。(院卒だから普通の人よりも上だとかは言ってません。)
 
 
するとそれが今度は身の回りのこと全てに影響してきます。
 
仕事。
「安い給料だし頑張ったら損」と仕事が手抜きになってくる可能性があります。
トラブルや大変なことがあっても、それなりの対価が支払われていないわけですから、「お金もらってるからいいか」と溜飲を下げるポイントがありません。ただただ疲弊していきます。
お金が足りないので、研修とか学会にも行く機会が減って知識のアップデートができなくなってきます、
難しい仕事があっても、「どうせ自分にはできない」と思って積極的に挑戦しなくなります。だって自分の価値は低いから。
 
プライベート。
自尊心が低いと周りと自分を比べるようになります。
例えば大学時代の同期。ようやく心理士になれたころ、ストレートだと彼らは社会人4年目です。それなりに自分で生活を送れるようになり、後輩もできて少しずつ重要な仕事を任される頃でしょう。結婚する人、子供ができる人も出てくるかもしれません。一方でようやく心理士になれた自分はどうでしょうか。単にライフステージが違うだけなのに、僻む気持ちや劣等感を抱えてしまうかもしれません。
自分の価値が低いので、当然ながら恋愛も上手くいきません。変な男(女)に引っかかってしまう可能性も高くなります。
 
それと、税金とか年金とかあるけど、それを支払うのにめっちゃ苦労します。
でも納税って国民の義務で、義務を果たすことすら危うい自分が情けなくなってきます。
 
 
怖いよね低賃金。自尊心を根こそぎ持ってかれる上に、仕事も上手くいかなくなります。
そして何より、こんな状態の心理士が、ちゃんと機能して人を援助できると思えません。
 
 
だから、仕事に見合った対価を得ることは必要だと思うんです本当に。
保育士さんや介護士さんの低賃金も問題になってますよね。
介護福祉業界では利用者への暴力とかあるけど。暴力は絶対あかんけどね。でも、日ごろ低賃金で不満がたまっていて、自尊心だって低くなっていて、そこに理不尽なことがあるとそれが容易に爆発しちゃうんですよ。
せめてもう少しお金もらえていたら「まあお金貰ってるから我慢するか」とかって思えるかもしれない。
ってニュース見ながら時々考えたりしています。
 
 
本当はもっと業界の体制が整っていて欲しいです。
心理士、世の中的に必要な仕事だなっていうのはすごく思うので。向き不向きは仕方ないけど、お金が理由で諦める人は減ってほしいなって思ってます。
ただ、歴史が浅い資格というのと、企業や病院にとっても稼ぎ頭(例えバリバリ手術して高い診療報酬を得られるとか)となる存在ではないから、現状では正直難しいところはあると思います。
(国家資格がどうとか、医師の指示のもととかいう議論は正直もうええわって感じですが。
 
だけどみんな頑張って苦労して勉強してきたんだからね。
成り下がらずに、上手に心理士として生きれたらいいよね。